二年の経験からオーストラリア移住のリアルをまとめてみました

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こんにちは。ジュークです。

2021年も早11日が経過しました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は、前回のオーストラリア移住後2年で思ったキャリアへのあれこれに続き、「オーストラリア移住」についてさまざまな角度から思ったことをまとめてみたいと思う。

前書きしておくと、昨年末に失職して以降私は無職で現在絶賛就職活動中ということもありそういったバイアスが色んな意味で入っている可能性もあることを留意いただきたい。

仕事の選択肢

オーストラリア移住にあたり、もっとも多い質問は「移住後、仕事は見つかるでしょうか」であると思っている。

さらに掘り下げるとこういった質問の意図は「日本で現在行っている仕事と類似しているもので、給与水準を下げたくない」と理解している。

過去の記事でも綴ったように、そのような仕事が見つかるか見つからないかは非常に運によるところもあり、個人差のある表現でもあるので一概の回答は難しい。

今回お伝えしたいポイントとしては、移住予定の方が日本で数年の就労経験がある前提とすると「日本で歩んできたキャリアをそのままオーストラリアで継続できるか」に対して私の答えは「難しい場合が多い」と思っているということだ。

結論から入ると、私自身も日本で歩んできたキャリアの継続は非常に困難であったし、こちらで知り合った日本人に限らず移民の少なくない数の知り合いが、何らかの形でのキャリアチェンジを度合いに違いはあるにせよ経験していると認識している。

これは過去の記事でも触れたように、これにはいくつか理由がある。

特徴的なのはオーストラリア経済・就労の現実とも言える産業の裾野の狭さだ。

豪州で一定の雇用数があり一定の給与水準にある業界は日本ほど多くない。強いてあげるのであれば、資源、金融、IT、医療そして政府機関が前述の条件を満たすであろう「比較的高所得」の業界であると私は考えている。

政府機関への就労は豪州市民権を保持していることが条件となっている場合が多く、移民の多くには当てはまらないので除外すると残る現実的な選択肢は4つとなる。さらに資源の場合、オフィスワーカーよりも鉱山などの現場職員が数としては多いため少々特殊な雇用のため今回は一旦置いておく。

結果として金融、IT、医療が残ると言える。豪州移住を目指し比較的スムーズに職を得たいと思う場合、この3つの中からキャリアを組み立て、学位および実務経験を何らかの形で積むことが理想と思う(もちろん個人差はある)

私もそうであったが、例えば日本では就職先としては比較的人気の製造業、とりわけ自動車や素材、化学といった産業はオーストラリアではかなり限定的である。簡単に経緯をまとめると、豪州政府は製造業を「高付加価値産業」としてみなしておらず、自動車産業も2010年代をもて国内製造を終えるなどしている。

私も製造業でのキャリアを諦め、そんなこんなでITにキャリアチェンジした。

日本人のハードル

日本人がオーストラリアで就労を目指す場合はこの産業の現実に加え、ハードルがさらに2つある。

1つ目は、英語力である。仕事の遂行におけるコミュニケーションの比重が比較的高い仕事に移民が少ないのはこのウェイトが大きいと思う。これは豪州に限った話ではなく、日本でも営業などの言葉の細かい「ニュアンスの汲み取り」や「空気の読み合い」が必要となる職に移民が少ないのと同じと思う。ここでいう英語力は「とりあえずのコミュニケーションがとれる」ではなく「ネイティブ並」であることを強調しておきたい。なんだかんだ職にありついているのは、当然だが後者の英語力を持つ人たちだ。

2つ目は、「日本人が必要とされる業界・仕事」の現実である。私が学生時代も通して感じたことは、オーストラリアに住む日本人の大多数は、日本食レストラン(特にシェフ)、旅行代理店(コロナ前は特に顕著だった)、日本語教師、美容師の4つに集中している。この中でも飲食店と教師が圧倒的に多いと思う。

当たり前な話だが、日本語や日本の知識が必須な仕事では日本人が当然有利になりやすい。日本の事情を知っているからのみならず、日本人のオーナーが経営していたり、その仕事で接する相手も日本からの観光客やオーストラリアに住む日本人であったりするのでコミュニケーションも取れ、文化や風習を理解している日本人が良くも悪くも好まれやすい。

例えば、日本人経営の美容師は現地人や多くのお金を落とすアジア人にもある程度人気のため、ワーキングホリデーの方々の就職先としても人気である。

もちろん、オーストラリアに進出している日本企業の現地採用も大枠ではこのくくりに入るが、年々縮小傾向にある日本企業の進出数により、その採用数は限定的だと感じている。

そうなるとITエンジニアや金融、公認会計士などの英語によるコミュニケーションがそれほど求められず、さらには「知識職」で「手に職」な仕事には移民が比較的多い上、その特殊技能性から一定の給与水準を維持されていると感じる。

したがって、これら条件を満たす場合のみ、オーストラリアで比較的スムーズな転職活動が望めると考える。

仮に豪州への移住後、キャリアチェンジを模索する場合(今私がその真っ只中だが)はこちらで大学もしくは大学院、もしくは職業学校(TAFEなど)に通い豪州市場で求められるスキルを身につけることが王道とされる場合もある。

一般論でいくと、これら学位取得は最低でも半年、最長4年などその種類や度合いによって様々ではあるが共通して時間がかかることが挙げられる。

更に卒業したからといってすぐに仕事が見つかるわけではなく「その職種は未経験、しかもオーストラリア人ではない上、オーストラリアでの就労経験もない」状態で就職戦線に立つことになる。私もこれには苦労しているし、書いてるだけで頭が痛くなる現実である。

何が言いたいかというと、時間のみならず、経済力が必須という事である。学費のみならずつまり少なく見積もっても1年くらいは収入がない、もしくはアルバイトでの限られた収入で暮らせるだけの貯金が必須となり、卒業後の就労は約束されていないことも肝に銘じなければならない。

この重要度は次のトピックの「生活費」に続けたいと思う。

オーストラリアは生活費が高いのは本当

オーストラリアの物価は高いというのが通説でありその通説に大方間違いはないと思っている。

簡単なところで行くと家賃である。私の住むシドニーで、CBD(中心街)から電車や車で1時間圏内で、例えば自身と配偶者や恋人の二人暮らしのための部屋を借りるとする。もちろん日本と同様、オーストラリアもピンキリで選べば安いものもあるが、1ベッドルームである程度のクオリティで安全性を望むのであれば週500ドルは必要だと感じている。つまり、1ヶ月あたり2000ドル、日本円で約16万円である。当然、ルームシェアはハウスシェアをすれば安くは抑えられるし、多くの人はこの選択肢を取る。

日本で16万円も出せれば都内のそこそこ良いマンションに住める。

もちろん最低賃金がオーストラリアでは2020年1月現在、約20ドル(約1600円)で東京の1.5倍ほどあるので同じ比率で家賃を考えるとべらぼうに高いわけではないが、毎月の支払いである上、移住者がすぐに比較的高給のフルタイムの仕事に就ける可能性も考えると非常に大きな出費である。

また余談ではあるが、シドニー都市圏で若いカップルが2ベッドルームの家などを買おうと思うと、100万ドル(約8000万円)が一つのベンチマークとなっている。もちろん、繰り返しにはなるが住宅市場は世界共通でピンキリであり安いものはいくらでもあると同時に、一定のクオリティで一定の条件を満たすものは100万ドルが1つの目安と実際に家探しをして思った。

日本で8,000万もあったら結構な選択肢が得られるのと比べると、オーストラリアの都市部の住宅価格は異常なのかもしれない。

さらに、豪州ではその人件費の高さから外食が割高である。もちろんこちらもピンキリで、老夫婦が営む中華料理屋などは比較的安かったりするし、CBDの一等地にあるレストランはもちろん高い。一般論でいくと、外食すると安くてもランチは12-15ドル前後、夕飯は一人当たり30ドルはみた方が良い。

日本のように気軽に外食といった生活は十分な財力がない限り現実的ではない。

そんな高価なご飯を毎日食べるのも大変なため、多くの人は自炊の割合が増える。オーストラリアは食品などの日用必需品の税制は低くなっているため、WoolworthsやColesなどの一般大衆スーパーで買い物する分には日本と有意差はないと感じている。むしろ輸入品が少なく、そのほとんどが自国で生産した野菜やお肉のため鮮度も高いのは利点と言えよう。

私は幸運にも色々な事情もあり、家賃の出費を最低限にできているため経済的な負担は小さくできているが、この高い生活費に四苦八苦している人は少なくない。

経済的なやりくりは移住前にしっかり計画を立てる事が必須と思う。

オーストラリアで家族を持つ

私は香港系オーストラリア人の奥様と結婚したため、こちらではよくある国際結婚をしたケースに当たる。まだ子供はいないが、こういった家庭でよくある課題として「将来生まれてくる子供に自分の母国語をどう習得させるか」が同じく国際結婚をした友人の間ではありがちな話題だ。

これは日本人に限らず、国際結婚した様々な移民の方々と話をするとよく悩みの種として話題になるため古今東西共通なのかもと考えている。

一般論でいくと、国際結婚カップルの場合、その子供は母親の言語の体得はわりとスムーズだが父親の言葉は体得する場合が少ないと見受けられる。これは単純にオーストラリアでも母親の方が子供と接する時間が長いからだと言われている。

現に、移民側の親の母国語を全く話さない移民2世は経験上少なくないし、バイリンガルになる土壌があっても英語のみ体得したまま大人になるハーフもオーストラリアでは少なくないと良くも悪くも感じる。

私自身、まだ考えるのは早いが子供にどう日本語を覚えてもらうかについて答えがまったくない。家庭によっては家族間では英語は話さず、両親の母国語のみで話す家もあるようだ。しかし私の場合、奥様も日本語をあまり話さないのでそれはそれでおかしいと思ったりもする。

方法としては、日本政府が提供している補修校に週末通ったり、日本人コミュニティに属し日本語を話す機会を増やすなどが王道のようだ(実際に私も幼少期そうだった)

私の場合、両親はともに日本人で英語は日常会話レベルなため、仮に私の子供が日本語を話さない(話せない)となると、祖父母と孫の間でコミュニケーションが成立しない。それはそれで寂しいことなのかもと感じる。また、日本の現実や文化を知らないまま育つことに対しても様々な意見があると思う。

私自身も海外生活が長く、日本の文化について学ぶことは限定的ではあったがそれでも両親が随所に日本のあれこれを色々な方法で教えてくれたことを今更ではあるが感謝しているしそれが大きな財産にもなっていると感じる。

個人的な意見ではあるが、いくら長い間海外に住んでいても最終的には日本人である以上、日本語のみならず日本文化や日本の現実を客観視できることは非常に重要だと感じている。海外に出れば、自分のことをどう自分で思っていようが周りが自分を見る目はどこまでいっても「日本人」なのだ。

終わりに

海外移住は一見華やかであり、確かに良い部分も多く自身の財産となることも多い。

私もオーストラリアに移住しなければ得られなかった、体験できなかった事がわずか2年と短い期間でも山ほどある。

一方で、駐在などの組織に属しての渡航、もしくは学生やワーキングホリデーなどの一時滞在ではなく、体一つで海を渡り異国で半永久に暮らしていく前提で生活するとなると色んな事が時に障壁となり悩みの種となる現実もある。今回はそれをお伝えできればと思ってブログ記事を書いた。

私の祖母は生前、「お金で解決できる問題はたいした問題じゃない」とよく言っていた。当時10代だった私はその言葉の重みを理解できなかったが、現在はその意味が少しずつ理解できるようになった。確かにお金で解決できる悩みは、確かに簡単ではないが致命傷にはならない。本当の問題は、お金では解決できず、時間と我慢と地道な努力でのみ改善・解決が可能なのだと思う。

繰り返しにはなってしまうが、私は決してオーストラリア移住反対派ではないし後悔もしていない。ただ、豪州移住には大きな苦労が伴うことだけ伝えたかった。華やかな生活を夢見てこちらに大きな投資をして移住し、現実に幻滅して日本へ帰国する人々を少なからずみてきた。中には家庭を難しくしてしまったパターンもある。

本日はこのへんで。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

日本生まれ、海外育ち、2018年よりオーストラリア在住。2021年7月に第一子が誕生。普段は外資系企業でサラリーマンやってます。

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