オーストラリアに永住するには?個人的な見解
この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
こんにちは。ジュークです。
さっそくだが、仕事や趣味、家族の人間関係上、日本人問わず「オーストラリアに移住してみたい」「永住前提でワーホリで来ました」という方と接することが少なからずある。悪くいうつもりはないのだが、彼・彼女らが持つオーストラリアに対するイメージは「移住しやすい」かつ「お金を稼ぎやすい」の2点だと感じる。
確かに、オーストラリアの最低時給は2024年7月現在、$24.10となっており、1ドル107円で計算すると2,578円となり、日本の倍近い数字ということになる。たしかに、この数字だけをみると、それは魅力的に映るだろう。
一方、永住してから6年程度の在豪邦人としてはヒヨッコの私で見解は少々異なる。「誰でもウェルカム!」なオーストラリアの移民政策はとっくに終わっており、かつ、時給24ドルではおそらく「生活していくだけで精一杯」だろう。
簡単に綴ってみたい。
永住前提で移住する方法
以前のブログ記事でも書いたことだが、「永住権」というビザは存在しない。実質的に「オーストラリアに住み続けることができる権利」を付与するビザが存在し、それを一般的に「永住権」(Permanent Residency, PR)と呼んでいるにすぎない。
つまり、一定条件を満たした人には永住する権利を与えるビザが存在し、それを取得できれば、オーストラリアに永住できるということだ。
それでは、「どういうビザや条件があるのか」が次の質問になるだろう。オーストラリア移民局のウェブサイトを見れば山ほど情報が出てくる。が、ものすごく簡単に、ものすごく噛み砕くと、2024年現在、日本人がオーストラリアで永住権を取得する方法は現実的に考えると少ない。
代表的なのは以下の3つ。
方法①オーストラリア人と結婚する
もっともわかりやすい方法。どストレートに、オーストラリア人の配偶者になることだ。これが、おそらく確実性の側面だけで考えれば可能性の高い永住方法である。もちろん、結婚していれば無条件にビザが降りるわけではない。もろもろ審査があるので、降りない人は降りない。
方法②特殊スキルを有すること
オーストラリア移民局は一定のサイクルで「オーストラリアで不足している職業リスト」をオンラインで公開している。早い話、不足している労働力を移民を補いたい、そのために永住権を出す。といったものだ。わかりやすいところでいくと、過去は医者、会計士や弁護士、ソフトウェアエンジニアなどがその代表例であったが、昨今は変わってきていると聞く。都度ウェブサイトの確認を推奨。
方法③金
永住目的の移民を減らす方向に舵を切ったオーストラリア。ただお金がほしいのは変わらず。投資ビザなるものが存在し、何千万円〜何億円の投資を豪州市場にしてくれる人はウェルカムのようです。札束で問題を解決する。これ以上にわかりやすい方法があるあろうか。
「え?これだけ?」と思われた方もいるかもしれない。他にも方法はいくらでもあることはあるが、現実問題として日本人が当てはまる条件で考えると、おおまかにこの3つだと私は考えている。この3ついずれも満たすことが難しそうであれば、永住は前提として難しく、あくまで学生やワーホリといった短期滞在で計画を練られるといいだろう。
オーストラリアで生活していくにあたって
「ここまでなんか偉そうな書き方だな」と思われる方もしれないが、私はこれまで永住前提の移住を考えてオーストラリアにそれなりのお金と時間をかけてやってこられたにも関わらず、志半ばで帰国された人を何人も見てきた。
その人たちにとって、オーストラリアにきたことが失敗だとは思わない。色んな体験をすることは誰にでも大事なことである。ただ、やはり色々考えさせられることは多い。
個人的に最も多い相談としては、「英語が全く喋れないのですが、オーストラリアでワーホリとしてどんな仕事がありますか?」である。
私はワーホリをやったことがないので、人の話を元に回答せざるを得ないのだが、シンプルに「日本で日本語で喋れない場合、仕事の選択肢はどれだけ狭いか」を考えると辿り着く答えは同じだと思っている。
英語が喋れない若い日本人がオーストラリアにきて、最も就職先に多いものはやはり日本食レストラン、通称ジャパレスであろう。職場に日本人が必然的に多くなるため、安心感がある。お客さんはもちろん現地のオージーが多いため、英語の勉強になる、、、と期待される人も多いと考える。
一方、現実はなかなか厳しいと思う。まず周りが日本人だらけのデメリットは「結局オーストラリアまできて、何やってるんだろう」という状況に陥る人が多いイメージ。「別に日本と生活変わってなくない?」という自問自答である。
次に、オーストラリアの最低時給はたしかに数字だけ見れば日本より高いが、それはオーストラリアの物価そのものが高いこと他ならない。筆頭は家賃である。もちろんピンキリであるが、シェアハウスなどをしても1週間300ドル、1ヶ月1200ドル(12万円強)前後が最低かかる認識だ。もちろん駅近や、新しい物件、人気の部屋などはもっとする。日本ならちょっとリッチな一人暮らしができそうな金額であるが、オーストラリアではシェアハウス(おそらく風呂トイレ共有)が関の山である。まあ、週5でガッツリ働けばそれなりに稼げるのかもしれないが、、、、
また、オーストラリアの物価を如実に感じるのは外食である。もちろん、こちらもピンキリであるが、ランチは20ドルくらい(2000円強)から、ディナーは50ドル以上(5000円)出さないと「え?こんだけ?」「この味でこんなに高いの?」となるクオリティと量になってしまうところが多い。一方、スーパーで売られている野菜や果物、お肉などは税率も低く、日本とそんなに大きく変わらない価格帯で購入できるものが多い。
よって、必然的に自炊が増える。決して、楽な生活ではない。
思うところ
たしかに、オーストラリアはかつて移民ウェルカム大国であった。聞くところによれば、80年代などは大学に3年通ったら永住権。修士号をとったら永住権。1年働いたら永住権。みたいな時代があったと聞く。
現在はそれから大きく変わった。誰でもウェルカム状態はおそらく2000年前後に終わり、2010年代から「選抜方式」に少しずつ移り変わり、現在では完全に移住のハードルは非常にあがっている。不可能とは言わないが、このブログで述べた3つの条件のどれかを満たすなど、特殊な状況・スキルを持っていないとスムーズに永住権を取得とは行かないだろう。
個人的には、オーストラリアに単身で渡って来られる人は、日本人に限らず、とても行動力があって素晴らしい方が多いと感じる。そんな人たちが、ビザがないというだけで帰国を強制されてしまう昨今は、なんどももどかしさを感じざるを得ない部分がある。
もちろん、オーストラリア永住には色んな方法があるし、私がいうのもあれだが挑戦する価値はある国だと思う。同時に、現実的なハードルは移住前に把握されていると、計画をしっかり練って永住権取得まで動くことができると考えている。