オーストラリアで株式投資: 始め方から豪州株式市場についてざっくりお伝えします。

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こんにちは。ジュークです。

さっそくではありますが、本日はオーストラリアで株式投資について綴ってみたいと思います。

2021年8月12日現在、日本在住の方がオーストラリアの株式を売買するのは可能なようではありますが色々と制約があったり、手数料が高いなどして現実的ではないようです。

この記事はあくまでオーストラリア在住の方がどうやったら豪州株式を売買できるのかについて綴っています。

オーストラリア株式市場の概要

さて、まずはオーストラリアの株式市場について簡単にご紹介します。

いきなりではありますが、みなさんはオーストラリア企業を何社ご存知でしょうか。

旅行好きの方は航空会社のカンタス航空、金融で働く方はマッコーリーグループ、IT関係の方は「JIRA」などで有名なアトラシアンなどをご存知なのではないでしょうか。しかし、お世辞にもそれほど国際的な知名度のある豪州企業の数は限られていると思います。日本社会の消費者が日々の生活で目にするものはほとんど無いというのが素直なところではないでしょうか。

よって、「オーストラリア株式市場ってぶっちゃけどうなんだろう?」「具体的なイメージがない」と思われる方も多いと思います。

まず細かい話はさておき、オーストラリアの株式市場は2021年9月時点では比較的良好な状況にあると考えています。オーストラリアの著名企業200社のインデックスである「ASX/S&P200」(詳細は後述)は、今年のパンデミックが発生するまでのこの10年を見ても明らかな通り、下記グラフの示す通り安定的な上昇傾向にありました。

出典:Google

2008年のリーマンショック後は3000ドルほどまで落ち込みましたが、この10年で7000ドル近くまで上昇するなどオーストラリア経済の好景気を示してきました。今年はパンデミックもあり急落しましたが、徐々に戻りつつあります。

さて、オーストラリアには日本の東京証券取引所と同じような立ち位置のオーストラリア証券取引所(Australian Stock Exchange – 略称ASX)があります。オーストラリアの主要銘柄は基本的にこの証券取引所に上場しており、投資家はこの取引所で株の売買を行います。

ちなみに、時価総額での世界最大の証券取引所は米国のニューヨーク証券取引所 (NYSE)。ついで同じく米国のNASDAQ、ついで上海証券取引所、東京証券取引所と続きます。2021年9月現在、オーストラリア証券取引所は時価総額でいくと世界17位で南半球最大となっています。

Wikipediaによれば、2021年時点での時価総額ランキングの以下の通り。

  1. NYSE (米国) — 27兆ドル
  2. NASDAQ(米国) —- 24兆ドル
  3. 上海証券取引所(中国) — 8兆ドル
  4. ユーロネクスト(EU) — 7兆ドル
  5. 日本証券取引所グループ(日本) — 6.54兆ドル
  6. 深圳証券取引所(中国) — 6.22兆ドル
  7. 香港証券取引所(香港) — 5.43兆ドル
  8. ボンベイ証券取引所(インド)— 3.96兆ドル
  9. ロンドン証券取引所(英) — 3.8兆ドル
  10. インド国立証券取引所(インド) — 3.55兆ドル
  11. トロント証券取引所(カナダ) — 3.26兆ドル
  12. サウジ証券取引所(サウジアラビア) — 2.67兆ドル
  13. ナスダックユーロ (EU) — 2.56兆ドル
  14. フランクフルト証券取引所(ドイツ) — 2.5兆ドル
  15. スイス証券取引所 (スイス) — 2.33兆ドル
  16. 韓国取引所(韓国) — 2.22兆ドル
  17. 台湾証券取引所(台湾) — 2.03兆ドル
  18. オーストラリア証券取引所(豪) — 1.89兆ドル
  19. テヘラン証券取引所(イラン) — 1.26兆ドル
  20. JSE(南アフリカ) — 1.14兆ドル

・・・・

日本と比較するとおおよそ4割程度の時価総額の株式市場となっており、台湾と比べると少し小さいぐらいの規模感です。そう思うと世界的に見ると決して大きくはない株式市場であるとは言えます。

話を少し戻して、いくつかオーストラリアで株式を取引するにあたり「よく耳にする単語」をいくつかご紹介します。

ASX/S&P200

日本の主要企業の平均株価を示す日経平均(英:Nikkei225)と同じようなオーストラリアにも存在し、「ASX/S&P200」と呼ばれています。オーストラリア証券取引所の主要約200社の平均株価が算出されています。

日経平均と同じくASX/S&P200に選ばれる約200社はその時々ではありますが、基本的にオーストラリア経済を代表するような大手企業が選ばれています。

一部の例を取り上げると以下の通りで、オーストラリアで生活していれば耳にしたことのある企業が多いと思います。

  • ANZ Banking Group (豪州3大銀行の一行)
  • AfterPay (豪州注目のフィンテック)
  • BHP Billiton (豪州の主要資源企業)
  • BlueScope Steel (大手鉄鋼企業)
  • Commonwealth Bank (豪州3大銀行の一行)
  • Harvey Norman (大手リテール)
  • JB Hi-Fi (大手家電量販店)
  • Qantas Airways (カンタス航空、豪州フラッグキャリア)
  • REA Group (大手不動産会社)
  • Telstra (大手電信電話会社)
  • Woolworths Ltd (大手スーパー)

ブルーチップストック

前述のASX200に名前を連ねる、これら大手優良企業の株は俗に「ブルーチップ(Blue chip)」と呼ばれています。

これら会社はまず企業規模が大きいため、社会信用があり倒産リスクが比較的小さく、配当金の支払いも一般的に安定している。その上、不景気にもある程度強いとされることから「安定資産」として考えられています。

これら株について一般論で言えることは、株価がある程度安定している、言葉を変えれば急激に下がるリスクは比較的小さいが、同時に急激に上がる期待もそれほどできない。同時に大企業ならではの安定感により配当金の支払いも安定感が魅力といえます。

私は基本的にこのような大手企業の株を購入・運用しています。このパンデミックの中でも、微々たるものではありますが株価は安定もしくは上昇しているものが多いです。私は頻繁に売買するというよりは、長期間保有する塩漬けを考えています。

ピンクチップストック

「ブルーチップ」の反対ももちろん存在しそれらは「ピンクチップ(Pink chip)」(時々ペニーストックとも)と呼ばれています。ようは小規模の企業株式です。中には上場していない法人も含むため、基本的に社会的認知度が少なく、比較的安定性にかけ倒産リスクもブルーチップに比べると大きな会社が多いです。

そのため株価もあってないような値段(1株1セントなどもザラ)がついています。

もちろん今後花を咲かせるかもしれないスタートアップやベンチャー企業も含まれているので、一攫千金を狙うような人たちが好む株式は基本的にピンクチップが多いです。

当たり前なことですが、ブルーチップは基本的に株価が安定しているため一気に暴落するリスクも少ない一方、急騰することもあまり期待できない。本当に株式で儲ける人は、ピンクチップから将来のブルーチップを見つけ出し投資するんでしょうね。

オーストラリアの国策

話は少し変わりますが、株式投資する際に豪州に限らずある国に対して株式投資を行う際には「その国の目玉産業はなんなのか?」を把握することは大事だと考えます。ここでいう目玉産業とは「経済規模が大きい」そして何より「それなりの成長が望める」業界のことです。日本で言うと自動車をはじめとする製造業、米国でいうと金融やITなどです。言葉を変えると、その国の政府として力を入れている、つまりお金が多く流れやすい産業と業界を把握することが大事だと考えます。

オーストラリアの国策産業の1つは資源です。例えば、石炭やリチウム、レアアース、鉄鉱石、ボーキサイトなどといった現代社会に欠かせない原料です。

時価総額でASX200の2割を占める巨大産業、つまりオーストラリア経済の顔ともいえる規模感であり、BHPビリトンやリオ・ティントなどの世界有数の資源会社も本社を豪州に置いています。後発企業やベンチャー企業も、地の利を生かしやすい西オーストラリア州に本社を置く場合が多く、その多くは海の物とも山の物ともつかぬ株式ですが、数だけ見れば大量に流通しています。

昨今人気のリチウム採掘をしている会社や、次のレアアースを掘り当てビジネス化しようとしている企業もあったりしますね。資源は多くの産業と切っても切れない必要物資のため、今後も安定的に伸びていく産業だと考えれていると思います。

オーストラリアの資源産業については以下にまとめています。

もう1つの国策産業は金融です。

日本と同じくメガバンク(コモンウェルス銀行やANZ銀行など)や大手証券会社をはじめ大きなお金を動かす会社もありますし、何よりオーストラリアにはスーパーアニュエーション(Superannuation)を運用する巨大ファンドがいくつか存在します。ここではスーパーアニュエーションが何かについては割愛させていただきますが、豪州のスーパーアニュエーションにおける運用額は2019年現在で国家のGDPの1.5倍に達するといわれており、動く金額のケタが大きいとも言えます。また、文化的にも社会的にも株式投資がごく当たり前に浸透しているため個人投資家の数も多いとされています。

最後に、これはまだ成長過程にある産業となりますが、オーストラリア政府は今後の国策の1つとしてIT産業を掲げています。

オーストラリアのシリコンバレーを作ることを目標に掲げ、「次のアトラシアン」を生み出すことにも乗り出しています。日本では知名度は少なめですが、後払いサービスのAfterPay(2021年9月に米大手Squareに買収)やデザインプラットフォームのCanvaなどはオーストラリア発の企業となっています。

この分野の株式も注目といえると思います。

株式投資の始め方

さて、ここまでお読みいただきありがとうございます。

そして、「ちょっと取引してみたいな」と思ってくださいましたら幸いです。

次によくいただくご質問としては、「どうやったらオーストラリアで投資を始められるのか」「どの会社がどのようなサービスを提供しているのか」です。

私も始める時そうでした。

日本でも無数の企業が株式売買サービスを提供しているのと同様に、オーストラリアにも株式投資サービスを提供する会社がたくさんあります。

Googleでぱっと検索しただけでも以下のようにたくさんでてきます。私もどこからどうやって始めたら良いのか迷いました。

出典:Google

最初の3つほどのサービスについて色々なサイトをみたり、英語のレビューサイトをみたりしてみましたが私は正直ピンと来ませんでした。

平たく言えば、取り扱い手数料が違ったり(違うと言っても数セントだったり巨額運用すれば違いが出る程度)、月の運用なんたらかんらで違いがあったり、今月口座を開いたら50ドルキャッシュバック… 色々あるものの正直いって「何の基準で何をどう選んだらいいんだ」状態に私は陥りました。

古今東西言えることですが、大手企業のサービスは信頼はありそうだが、やはり手数料が高かったり、ベンチャー企業のサービスは手数料は安くても倒産リスクとかカスタマーサービスに不安を感じたり…。

結局「よくわからない」状態に陥ったので、私はすでに株式投資を始めている友人数人に聞いて回りました。

そこで得られた有力な回答は「すでに持ってる銀行口座の銀行で証券口座を開くのが一番手っ取り早い」「よっぽどの運用金額でない限り、どこで口座を開いてもそんなに変わらない」というものでした。

確かに第三者機関で証券口座を開こうと思うと、いわゆるBackground Checkがあったり収入証明や税金などについて報告する必要があったりします。ところが、すでに口座を所有している銀行であればこういったプロセスを飛ばせるので手っ取り早く口座を開けるというメリットもあります。

また、同じ会社で口座を開くメリットとして、お金の入金・出金が同じアプリ上で行え、多くの場合即日で完了することもあげられます。知人に聞いた話ではありますが、銀行と証券の会社が異なる場合は入出金に2−3営業日かかることもあるみたいです。

さらに、大手銀行の証券部門であれば、倒産リスクやオンラインサービスの不具合なども少なからず信用できるという安心感もありますね。

そんなこんなで、私はCommonwealth Bankで口座を持っていることもあり、同銀行の証券部門であるCommSecで証券口座を開きました。ネット上で申込が完結する仕様になっており、口座番号や本人確認のためのSMS照合などを経て、わずか10分くらいで口座開設できました。

お金の出し入れも、Commonwealth Bankアプリ1つで完結するのもやはり便利です。

主要銀行であればCommonwealth Bankに限らず証券サービスを所有していると思いますので、興味の方は確認してみては。

終わりに

株式投資を始めて半年ぐらいではあり、運用額も限定的ではありますが株価が順調に回復に向かっているだけではなく順当に半年に1回の配当金も受け取れています。今はまだお小遣い程度の金額の配当金ではありますが、コロナウィルスの影響も落ち着いたタイミングでもう少しずつ運用額を増やそうと思っています。

もちろん普段の生活もありますので、無理のない範囲で貯金額を少しずつ回す予定です。また、何事にもゴールはあったほうが良いと思いますので、40歳ぐらいまでを目標に生活必要最低限の収入を株で得られたらとは思っています。お金の心配を少しでも減らすことによって、仕事やプライベートの有事の際に備えられたと思っています。

日本ではなかなか馴染みのなかった株式投資も、金融が盛んなオーストラリアに来ることで本格的に始められたので、豪州で生きていく上で学んでいけたらと思っています。

※投資はリスクが伴います!無理のない範囲で行いましょう。

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日本生まれ、海外育ち、2018年よりオーストラリア在住。2021年7月に第一子が誕生。普段は外資系企業でサラリーマンやってます。

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