オーストラリアの政治・政党についてまとめてみる

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こんにちは。ジュークです。

昨日ここオーストラリアでは連邦選挙があり、9年ぶりに政権交代となることでほぼ確定しました。長年オーストラリアの政権の座にいた自由党(オーストラリア・リベラル・パーティ、ALP)が去ることとなり、労働党(オーストラリア・レイバー・パーティ)が第一政党となりそうです。

私もここオーストラリアに暮らして長くなりますが、今更「この選挙ってなんだっけ?」「自由党と労働党ってなんだっけ?」と思うところもあり、簡単に調べてみましたのでここでまとめてみたいと思います。

連邦選挙とは

まず今回の選挙とは何を決める選挙だったのか。

結論からいうと、Parliament of Australia (和訳:オーストラリア連邦議会)の議員を決める選挙であった。オーストラリア連邦議会は上院 (Upper House)と下院(Lower House) の二院制となっており、これは日本の参議院・衆議院のイメージに近いと思われる。

上院 (Senate)

上院は定数76名。

オーストラリア連邦を構成するビクトリア州・NSW州・クイーンズランド州・南オーストラリア州・西オーストラリア州・タスマニア州の6州から12名ずつ、そして準州(ノーザンテリトリー準州とACT)から2名ずつとなっている。

これはアメリカ合衆国と同じく、州の人口にかかわらず、各州から均等な数の代表が選ばれる制度となっている。これは下院の最大政党に有利な法案ばかりが通ることを避け、かつ、特定の州だけに都合の良い法案も通らないようにし、究極的にはオーストラリア国家全体に利益のある法案を通すことが役割とされている。

任期は州議員6年・準州議員3年であり、この周期で上院の半数が選挙によって入れ替わる。任期年数は原則固定、つまり早期解散が特別な事由なしに不可能となっている。

下院 (House of Representatives)

下院の定数は151名。

議員は日本で言うところの選挙区(Electoral Division)から選ばれる。任期3年であり、場合によって早期解散が可能。

私も今回戸惑ったのは住居区のサバーブ及びカウンシル(Suburb/Council)と選挙区(Electoral Division)は必ずしもイコールではないということだった。

Wikipediaによるとオーストラリアの選挙区は以下の通り。

Wikipedia

基本的な考え方としては人口がイコールになるようにされており、かつ州をまたがらないことがルールとなっており、一定の感覚で見直しもあるようだ。人口の少ないACTが3つに分割されているように、州によって選挙区数に歪な偏りが生じないような配慮もされている。しかし今度はノーザンテリトリー準州が1つの選挙区っておかしくない?といった議論もあり、なかなか線引きが難しいようである。

ちなみに、ノーザンテリトリー準州が「州」でない理由はその人口の少なさが理由の1つのようである。ノーザンテリトリーはわずか、およそ20万人の人口である。

かつての宗主国イギリスと同じ制度であり、下院の最大政党の党首がオーストラリア連邦の首相となる。今回の選挙前の最大政党は自由党(Liberal Party)、その党首でありオーストラリア連邦の首相はスコット・モリソンであった(下の写真)

Wikipedia

義務投票制(Compulsory Voting)

ちなみにオーストラリアでは投票することは国民の義務とされている。これは真面目な話で、特別な事由なく投票しないと罰金・罰則の対象となる。

2022年5月現在、投票が義務となっている国は、オーストラリアの南米の一部の国のみで、アメリカや欧州、日本では義務とはなっていない。

義務か任意かについては賛否両論だと思われるが、個人的には義務にすることで国民の関心を常に惹きつけることには成功している気がする。民主国家であるので、あくまで社会の主役は選挙権を持つ国民ですよ、といったことが強調されている気がする。

日本でも選挙を行うと都知事選挙でも4割程度、アメリカの大統領選挙でも6~7割前後の場合もある。言い方を変えれば対象となる国民の半分は投票すらしていない。これもこれで問題では、という議論もあるし、そもそも投票するかしないかは国民の自由であるべき、といった議論もある。

オーストラリアの主要政党

オーストラリアにも日本のような自民党・立憲民主党・公明党のような主要政党がある。形としてはアメリカの二大政党制となっており、自由党・国民党の連合(Coalition)と労働党が二大政党となっている。基本的にはこの2つの政党が、選挙時の政治的・経済的・社会的状況から望まれる政策を掲げている方が選ばれる。

Australia Liberal Party (オーストラリア自由党, ALP)

Wikipedia

アメリカでいうところの共和党的なポジションにある二大政党の1つである。主に中道右派であり、保守的な政策を取ることで知られる。基本的に、大企業やビジネスオーナーに有利な政策を好むとされており、簡単な話がどちらかといえば「お金持ち」を優遇する政党である。いつもがいつもではないが、自由党が政権を握っている間はオーストラリアの株価は上がりやすいと言われている。

2022年選挙前の時点でのスコット・モリソン、その前のマルコム・ターンブル、トニー・アボットを始め直近約9年間、オーストラリアの政権を握り続けた。

Australia Labor Party(オーストラリア労働党, ALP)

Wikipedia

二大政党のもう1つが、オーストラリア労働党である。アメリカでいうところの民主党であり、どちらかといえば左派政策をとる。その名の通り、労働者や社会的マイノリティを支持基盤としており、昨今では移民政策にも前向きであることから移民2世3世などの支持も増えてきている。労働者の職場環境の改善や最低賃金の引き上げなどが定例である。

昨今では中国語の堪能なケビン・ラッド、東日本大震災の後に福島に訪問したジュリア・ギラード(オーストラリア初の女性総理)などを輩出した(下の写真)

Wikipedia

Nationals (国民党)

Wikipdia

自由党と連合を組む、NSW発祥の政党である。日本でいうところの自民党と連合を組む公明党といったところか。

国民党の最大支持基盤は農家であり、そのままで農家の利益を守るための政党である。農業大国オーストラリアならではの政党といったところ。

基本的に保守派が多く、全ての利害が一致するわけではないが自由党と連合を組んで久しい。

その他

他にも規模の小さい政党も存在する。

  • Greens(緑の党) – その名の通り環境保護を最大の政策に掲げる左派政党である。
  • United Australia Party (UAP) – 少々極端な右派政党であり、反移民な思想も強く、ロックダウンにも反対している。
  • One Nation – 過激派の右派政党であり、反移民な上、白豪主義を回帰させるような言動が目立つ政党である。グローバリズムにも反対。

オーストラリア全体でみる支持政党

まだ全ての開票が完了していない時点で書いている記事ではあるが、Wikipediaに早くも選挙区ごとの結果を色分けした画像が掲載されている。

Wikipedia

文字が少々小さいが、まとめるとこういうことである。紺色は自由党の支持地域である。平均所得が高く、移民の数も東海岸に比べると少ない西オーストラリア州では紺色が目立つ。メルボルンは製造業の経済が発展しているからか、この画像でいくと赤、つまり労働党の支持地域が多い。NSW州の内陸部は当然ながら緑、National党一色となる。

シドニー・メルボルン・ブリスベン・パース・アデレードといった大都市圏では労働党(赤)が目立つのはやはり移民の数も増えたこともあるし、保守派の考え方とは異なる人たちがやはり多いということなのだろう。

つまり見方によっては、大都市圏 vs. 内陸部 といった構図でオーストラリア政治は動いているといっても過言ではない。

終わりに

日本でも選挙があると朝から晩までテレビは選挙一色となるが、それはここオーストラリアでも一緒だった。朝から晩まで選挙結果の予想や、政治家などのインタビューばかりであった。

一つ日本と違う点があるとすれば、オーストラリアは二大政党制がまがいなりにも機能していると言えることだろうか。私も日本在住時に選挙は何度か経験したが、どこか「どうせまた自民党が勝つんだろ」的な空気があり、もちろん政治家たちは必死なのだろうけれど、一般大衆の注目度は低かったと思った。日本は米国の戦後政策もあり、これも良し悪しのあることなのだが、事実上自民党しか政権運営できない構図が少なからず成立している。よって、確かに以前民主党がいっとき第一政党とはなったが、基本的には自民党優勢で変わりはない。そのため、「今回は第一政党が変わるかも?」といった期待は限定的である。

よって、日本の場合、アメリカやオーストラリアのように「労働党と自由党、どっちが勝ってもおかしくない」といったある種緊張感のある選挙にはなりにくいと思う。

豪州の場合、二大政党のどちらかになることで、その政策も大きく変わる。なので自分たちの生活に直結するので、オーストラリア社会での注目度は高いと思う。

日本生まれ、海外育ち、2018年よりオーストラリア在住。2021年7月に第一子が誕生。普段は外資系企業でサラリーマンやってます。

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