日豪にて外資系企業で働いて思っていることをまとめてみます② ー「キャリア」とは

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こんにちは。ジュークです。

以前、表題である「日豪にて外資系企業で働いて思っていることをまとめてみます」のブログ記事を投稿した。私はかれこれ8年ほどいくつかの外資系企業に営業として勤めてきた経験から、外資系企業で働いてどう思っているかをまとめてみた。

以前は、「外資系企業の海外拠点」である日本支社や豪州支社への理解や、「非英語圏の経済大国」としての日本、そして海外進出先の戦略的重要度などについて触れた。

今回は少し視点を変えて、「キャリア」について触れてみたいとおもう。

外資系企業の海外拠点で考えられるキャリアは営業職がほとんど

これは幾多のブログや本にも記載されていることになるが、外資系企業(この場合米国資本を指す)の海外拠点(日本やオーストラリア)にて現地採用された場合、もちろんマイクロソフトやSAP、ジョンソンアンドジョンソンなどいった日本支社単体で1000人以上の従業員を抱える「巨大企業」に勤めている場合は特例だが、従業員50人以下などの進出してまもない新興企業やこぢんまりとした職場の場合、当たり前のことだがその会社内でのキャリアパスはかなり限定的であったりする。

外資IT業界でいうと、どこかのブログで触れられていたが海外拠点に勤める社員の8割以上は営業であるといっていい。むしろこの業界に身を置くものの立場とすると「それ以外何があるのか?」と思うのが正直なところだ。

米国資本の外資ITの多くが、本社を西海岸(この場合カリフォルニア州が大半である)もしくは東海岸(NY近辺が多い印象)に置く。海外進出が進んでいる企業だと、英国(過半数がロンドン近郊)やオーストラリア(シドニーやメルボルン)に各地域の営業拠点(英国=欧州の営業拠点であり、豪州がアジア太平洋地域の拠点となる)とし、人件費が比較的安い東欧やインドにカスタマーサポートセンターや開発拠点を置く。

その言語性や文化の違いから、オーストラリア(つまりアジア太平洋本社)とは別枠で日本支店を構えていることがある。カントリーマネージャーと呼ばれる、すなわち日本支社の雇われ社長(社長といえど上司は前述の豪州支店の社長だったりする)が切り盛りしている場合がほとんどだ。

当然ながら、東京支店もオーストラリア支店も本社から見れば同じ「出先の営業所」であることには変わりがない。

日本企業の地方の営業所に勤めたことのある人ならわかると思うが、その名の通りで営業所には営業しかいない。強いて経理や総務を行う人員が1〜2人いればいいほうだ。

よって、外資ITの海外拠点で働く場合、キャリアは「営業職」に限定される場合がほとんどだ。

同時にこの「営業職」にも色々なポジションがあり、会社によって定義している職務も様々だ。

一般論として、まず「営業」と「技術営業」に分けられる場合が多い。後者の方が説明しやすいため、先に述べるといわゆる「ITエンジニア」の背景を持つ人のポジションで、自社サービスを顧客に技術的な回答やサポートをするために存在する。会社によって呼び方は様々だが、「ソリューションエンジニア」「ソリューションアーキテクト」と呼ばれる肩書きを持つことが多い。時折勘違いがあるが、このポジションはあくまで顧客に自社サービスを検討・購入・使い続けてもらうための技術担当であり、いわゆる開発や保守管理といったエンジニア職ではない。そういった職種は本社で採用されているからだ。

前者の「営業」はその言葉の通り、いわゆる営業活動を行う人たちだ。日系企業では珍しいが多くの外資IT企業では、いわゆる営業は「新規営業」と「既存営業」で仕事が分けられている場合が多い。新規営業は、見込み客との商談を進め、クロージング(成約)まで持っていくのが仕事だ。毎月または毎クオーターに目標金額が言い渡され、ひたすら新規案件をもとめて奔走する。既存営業は、既存顧客のアフターフォロー(外資ITの場合これは契約更新率で見られるケースが多い)やアップセル(追加サービスの販売などによる顧客あたりの売り上げ増)などが評価基準となる。

この営業分業制について、この場で深掘りするつもりはない。実際に働いてみると痛感する点としてこれら2つのポジションは営業という同じ括りであることに違いはないが、求められるスキルセットには大きな違いが存在する。

よって、技術営業と営業と職種は大きく2つに分かれるものの外資ITでは「営業組織」の大きな括りに属することに変わりはない。どちらのポジションも「売り上げを達成したか否か」でのみ存在価値が決まるという点においては有意差はない。

男女比が崩壊している組織が多い

なんだか反発を喰らいそうな見出しだが、外資ITに勤める人ならなんとなくわかっていただけるものと思う。

これは日本支社だけではなく、多くの米国系IT企業やそのオーストラリア支店でもよく見かける現象である。

そもそも論として、まず「ITエンジニア」の職にいる人間のほとんどが男性である。これは日本でもオーストラリアでも米国でも、もちろん違いはあるとは思うが大枠では有意差はないと思う。私が以前勤めていたある外資ITで、エンジニアリング部門の男性比率は9割近かった。

そもそも私が通っていたオーストラリアの大学のIT学部も、明確な統計を持っているわけではないが少なくとも7割は男だったと思う

外資ITに勤める営業を「ITセールス」と呼ぶこともあるが、この職種もまた男性が多い。これは私の所感ではあるがそもそも営業という仕事が、日本でも豪州でもなんだかんだいいつつ長時間労働であり、コロナウィルス勃発前は出張が多かった上、会食や接待が比較的多い世界であることから、家庭や育児や産休といったことによる休暇や離職が避けられない女性社員に必ずしもサポーティブな職種ではないと感じることが正直ある。

この現実には賛否両論はあるにせよ、多くの外資ITにて、その従業員数の多くを占めるエンジニア職と営業職が男性主体となっているケースが多い。

よって、それ以外の職種、すなわり人事や総務やサポートデスク、オペレーション、そしてマーケティング部門に女性が多い会社が自らの経験から見ても多いと感じている。しかし多くの場合、セールスとエンジニアの従業員の数は会社全体の6〜7割に達する場合が多い。従って、仮にこれ以外の部署を全員女性にしたとしても50:50になるケースは稀だ

例えば豪州では、男女比が著しく偏った職場は政府から注意が来る場合もあるし、外からの評価が決して良い方には傾かない。そういった「性差別を行なっている会社だ」というレッテルを貼られてプラスに働くことは一切ないので多くの外資ITがこの男女比率の崩壊に頭を悩ませていると感じる。

従って、これまた賛否両論だが多くの外資ITで女性のセールスや女性のエンジニアは重宝されていると感じる。

平均在籍期間は1年半、よくて3年

IT業界では日々新しい企業が生まれては、老舗企業が買収されたり倒産したりと、新陳代謝が激しい。そういうと「え、安定性のない業界なの?」と聞かれることはある。現実問題、安定性を「一社で長く勤める」と解釈するならばその安定性は皆無であるといっていい。ただ、「外資ITでセールスとしてキャリアを歩む」安定性はあると思っている。

話は戻るが、新陳代謝の激しい業界なので、企業での人の出入りも激しい。

オーストラリアの米国系IT界隈に足を突っ込んで3年ほどになるが、周りを見ても平均在籍期間はざっくり1年半、長くて3年。5年以上同じ会社にいる人は極めて稀である、という印象だ。

これは前述の通り、多くの従業員が営業系であり、当たり前のことながら全員が全員数字を出し続けられるわけではない。数字が出せればインセンティブももらえるし、昇給もあるだろう。マネージャーポジションへの昇格もある。ただ結果をコンスタントに出し続けられる人は一握りであり、外部要因や担当するセグメントにもよって浮き沈みはある。色々考慮すると1年半くらいが平均在籍期間といっていいと思う。

しかしこれは「1年半で首になって無職になる」という意味では多くの場合でない。

私の周りでも、辞めていく人もいれば入社してくる人もいるが、そのほとんどが同業界内での移動だ。大体の人が辞める前に次が決まっている。

つまり、それなりの経験があって結果をそれなりに出せることができていれば、引く手数多な業界でもある。

自らの意思で転職する場合もあるが、前述の通り会社の買収売却や倒産なども日常茶飯事なわけなので、そういった自らがコントロールできない部分での転職もひっくるめての「1年半」であると言える。私も豪州で初めて働いたIT企業が、入社半年後に買収された。突然であったし前情報もなく、気がつくと偉い人たちの首がいくつか飛んでいた。こういうことも、何度も経験することになるので今となっては「そんなこともあったな」程度である。

私も経験3年ほどのひよっこであるが、海外進出をもくろむ米国IT企業は後を絶たないと本当に思う。事実、ちょくちょくLinkedinなどで「オーストラリア支社の立ち上げメンバーにならないか?」といったお誘いはいただく。よって、「外資ITでセールス」としての結果を出して評判を上げれば、食いっぱぐれることのない職種だと思う。

終わりに

外資ITというと、ドライな雰囲気があったり、在籍期間も短いため刹那的な空気で働いているのだろうかなど、様々なコメントはいただく。

確かに、上司が入ってすぐやめた、気がついたら自分が職場で在籍期間が一番長くなっていた、同僚がみんな辞めた、などといった話はよく聞く(自分がその立場になったこともあった)

ただ同時に考えてみてほしい。

あなたのスマートフォンに5年以上使用し続けているアプリがいくつ入っているだろうか。

そのアプリを売る営業は何人必要だろうか。

そう思うと、技術の進歩の速さとそれに必要な人的コストがなんとなくわかっていただけると思う。

それでは。

Juke

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