オーストラリアで良いと思うお金の仕組み3選

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こんにちは。ジュークです。

オーストラリアを万歳三唱するわけではないが、社会人になってから移住4年ほどの経験をもとに「オーストラリアのこの社会システム、よくできてるなー」と思ったものを3つほど紹介したい。

Superannuation

あるあるの選択かもしれないが、これは外せない。

略してSuper(スーパー)と日常生活で呼称されるこれは、日本で言うところの「確定拠出年金」のシステムに近い。オーストラリアで就労するのであればこれはほぼ義務というか、社会構造として労働者に付随する仕組みである。

ものすごいわかりやすい表現をすると、基本給に加えて、おおよそ基本給の10%(2022年10月9日現在は10.5%)が個人の持つスーパー口座に毎月振り込まれる。もう一度言うが、基本給に上乗せで10%が振り込まれる。

7年ほど日本でサラリーマンをやっていた私も、最初はこの仕組みには驚いた。日本では給与からの天引きになることがほとんどだからだ。

したがって、基本給が仮に年棒6万ドルだとすると、6000ドルが一年でスーパー口座に振り込まれる。実質年収は6.6万ドルとなるわけだ。

純粋に実質年収が増えるとも言えるし、何よりスーパーの社会システムとしてのその特異点は、その高い運用益にある。

もちろん現在のようにインフレと不景気直前のような状態ではなんとも言えない部分もあるが、平常時はおおよそ7~10%、良い時では15%ほどの年利で口座残高が増えていった。

スーパーの資金を運用するSuper Fundはいくつかオーストラリアには存在する。最大手のAustralianSuperを始め、各社それぞれ強みがもちろんある。一般的には、積極的な株式投資(国内に加え国際市場も視野)を始め、不動産や債権、国債など色々な資産に投資のプロ集団が運用している認識である。

ただでさえ、オーストラリアの不動産市場は空前のバブル状態なので、それは儲かるのかな、とも思ったりする。

話を戻して、度合いはあるにせよ世界経済はインフレする。これは世界経済が成長していく限り、避けられない未来である事実である。従って、運用益が低い資産運用は未来の自分の首を絞めていることに他ならない。そのために年に10%程度も資産が増える枠組みを、国が一定の監督下で在住者に提供しているというのはとても、社会のセーフティネットとしても優秀だと思う。

「未来の自分の資産がちゃんと準備できている」の安心感は代え難いものがある。

基本的にスーパー口座のお金は65歳ぐらいにならないと引き下ろせない。この点は、日本の確定拠出年金と同じである。一方、コロナ禍で資金繰りに困窮した人たちが増えると特例を作って、一定額の引き下ろしを許可するなど臨機応変に対応してくれるのがオーストラリア政府でもあったりする。

Tax Return

毎年5〜9月ごろになるとオーストラリアの巷が騒がしくなる。そう、納税の季節になるからだ。

オーストラリアは、7月始まりの6月終わりが税制でいうところの「1年」となっている。簡単な言い方をすると、この期間で得た収入をもとに納税額が決まる。

人にとってはタックスリターンはめんどくさいことに他ならない。自分の収入・支出を証明するものを集めないといけないし、場合によっては税理士に会わないといけないし。

私はこのタックスリターン、つまり自分のお金の管理が個人に一任されていることは良いことだとオーストラリアに来て感じるようになった。

日本在住時の私は、お恥ずかしながら、税金のことやお金のことをちゃんと考えたことはなかった。だって、会社が全部やってくれていたし、小難しい税金の仕組みを勉強するなんて気が滅入った。どうせ会社が天引きでやってくれているし、年末に少しお小遣いがもらえるし、まあ、いいか。とそんな認識でいた。

なので、今思うと自分が払っていた税金が一体何に対しての課税であり、節税するにはどうしたらいいのか(節税というと聞こえが悪い場合もあるかもしれないが、自分の手元に残すことのできるお金を増やす合法的なことである)など、考えたことなんて微塵もなかったし、見当もつかなかった。

一方、オーストラリアに来てからも会社がある程度やってくれているとはいえ、最終的に国に申告する金額は個人に委ねられていることから、税金の仕組みについて考える機会が増えた。そもそも何に対して具体的に何%課税されており、累進課税はどのようになっているかなど、否応なしに考えさせられる。

もちろんお金のかかることなのだが、私は年に1回、タックスリターンのタイミングで税理士に会うようにしている。1年1回ぐらいは、自分のお金のことや税金、資産形成のことについて相談できる機会があるのはとても良いことだ。自分の課税所得(taxable income)はどれぐらいあり、控除できるもの(tax deductable)はどれぐらいあり、その他いろいろ調整が入って最終的な納税額はいくら、と説明を受けられる。

また、「今年はこうだったけど、来年節税するとしたらどんな方法があるか?」といったことも考えられる。簡単に言うと豪州の税制は、Taxable Incomeに対して累進課税になっているので、このTaxable Incomeを減らせば年収が多くとも課税金額は減るといったことになる。

また、株やETFを保有していると細かいながらもForeign Capital Gain含め、色々な雑収入が増えるので、税理士に任せることが最も簡単な側面もある。

銀行の手数料とか

日本に住んでいると、ATMを利用すると手数料を取られたり、お金を振り込む時も手数料を取られたりする。金利もゼロ%に近い世界なので、手数料ばかり支払っていて「なんなんですかこれ」と私はよく思っていた。

一方、オーストラリアでは基本的にATM手数料はかからない。例えば、4大銀行の口座・カードであれば、どの銀行のATMを使っても原則お金はかからない。

お金の振り込みも基本的にタダ。したがって、友達とご飯を割り勘するときなどは銀行振り込みが一般的なやり方だったりもする。銀行によっては電話番号だけで振り込みができる場合もあり、非常に便利である。

銀行のサービスを使うたびに「手数料とられるのかな?」と考えたりイライラしなくて済むのは大きな利点ではなかろうか。

終わりに

オーストラリアにきてから思うのは、こういった「お金の話」がとても身近なところにあるということだ。株式投資も日本に比べると浸透している感覚があるし、ここで述べたSuperannuationや税金についても日常会話でしても差し支えない、そんな社会であると感じる。

これを金融リテラシーというのかはまた別の話になるが、お金のことをちゃんと考えること、そしてそれが日常的に環境としてあることは非常に重要だと思う。

人はやはり環境に左右されてしまう生き物なので、オーストラリアにようにお金の話がしやすい社会に生きているとそういった利点はあると感じる。

日本生まれ、海外育ち、2018年よりオーストラリア在住。2021年7月に第一子が誕生。普段は外資系企業でサラリーマンやってます。

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